「低糖質食」という意味で「ローカーボ(ローカーブ)」というカタカナ語が使われることがありますが、この「ローカーボ」とはどういう言葉なのでしょうか? この言葉の氏素性に迫ります。
「ローカーボ」は "low carb"
「ローカーボ」は "low carb" という英語をカタカナで表記した言葉です。
"carb" の発音は「カーブ」「カールブ」「カルブ」といったあたり(発音の仕方が複数ある)なので、「ローカーボ」よりも「ローカーブ」のほうが英語の発音に近いのですが、日本では「ローカーボ」のほうが普及しているようです。
"low carb" は "low carbohydrate"
"low carb" は、"low carbohydrate" という言葉が短縮されて生じた俗語です。
日本で「ローカーブ」よりも「ローカーボ」という言い方のほうが優勢なのも、"carbohydrate" という語を "carbo" と "hydrate" に分けたときに "carbo" の末尾が "o" で終わるためでしょう。
"low carbohydrate" の意味
"low carbohydrate" は「低糖質」という意味です。 「糖質」に当たるのが "carbohydrate" で、「低」に当たるのが "low~" です。
"low carbohydrate(低糖質)" とは「(食事に含まれる)糖質の量が少ない」という意味です。 「糖質含有量が少ない食事」と言いたいときには「低糖質食(low carbohydrate diet)」 という言い方をします。
"carbohydrate" と「糖質」
"carbohydrate" の基本的な意味は「炭水化物」です。
そして「糖質」とは「食物繊維を除く炭水化物」のことです。 つまり「糖質」とは「炭水化物のうちカロリー源となるもの」だというわけです。
そうすると "carbohydrate" を「糖質」と訳すのは間違いで「炭水化物」と訳さなくてはいけないのでしょうか?
そんなことはありません。 "carbohydrate" には「大量の炭水化物を含有しカロリー源となる米や麦やジャガイモなどの食品」という意味もあります。 この意味の "carbohydrate" であれば「糖質」と同じ意味です。「炭水化物」と「糖質」の区別
"carbohydrate" が「炭水化物」と「糖質」のどちらを指すのかという問題は、アカデミックな分野でも生じています。
"carbohydrate" という言葉を「炭水化物(食物繊維が含まれる)」という意味で使っているのか「糖質(食物繊維が含まれない)」の意味で使っているのかが明白でないことがあるのです。
"carbohydrate (including dietary fiber)" や "carbohydrate (excluding dietary fiber)" というふうに "carbohydrate" という語に食物繊維が含まれるかどうかを明記しているケースがありますが、それは裏を返せば "carbohydrate" という語に食物繊維を含めるかどうかが統一されていないということにほかなりません。
また、この研究のように、1つの研究のなかで "carbohydrate" を「糖質」で使ったり「炭水化物」の意味で使ったりしているケースもあります。 この点があらわれている文を以下に2つ記載します:
「炭水化物」と訳しているのを「糖質」に置き換えると意味が通じない↓
「糖質」と訳しているのを「炭水化物」に置き換えると意味がおかしくなりかねない↓
まとめ
"carbohydrate" が登場する英文を読むときには、その "carbohydrate" が「炭水化物」の意味で使われているのか「糖質」の意味で使われているのかに注意が必要です。
ただ、「ローカーボ(ローカーブ)」という言葉においては、「カーブ(カーボ)」は「糖質」の意味(あるいはゴハンやパンやラーメンなどを指す日常的な意味での「炭水化物」の意味)で間違いありません。