「ヒール」と「キュア」の意味の違い

ロール・プレイング・ゲーム(RPG)などに登場する回復魔法の呪文には「ヒール」と「キュア」という2種類の系統が用意されていることが多いですが、「ヒール」と「キュア」はどう違うのでしょうか?

ゲームにおける扱い

RPGでは、ヒールが傷を癒してヒット・ポイント(HP)を治す呪文であるのに対して、キュアは毒や病気などの状態異常を解消する呪文であることが多いようです。

ただし、コンピューターのRPGの前身にあたるテーブルトークRPGの中には、外傷を治す呪文の名称を「キュア・ウーンズ」としているものがあったりします。 「ウーンズ」とは英語の "wound(傷・怪我)" の複数形 "wounds" のことです。

「ヒール」と「キュア」の英語

「ヒール」

「ヒール」の英語は "heal" で、その意味は次のようなものです:

  1. ~の/~が健康を(病気や怪我から)回復する
      "She healed the sick patient."
    (彼女は病気の患者を治した)
  2. ~の/~が(肉体・心・魂などを)癒す、浄化する
      "Only time can heal her grief."
    (時間だけが彼女の悲しみを癒せる)
  3. ~を修復する、~が修復される
      "The rift between them finally healed."
    (彼らの仲違いがとうとう修復された)

"heal" には名詞としての意味はありません。

"heal" の語源をたどると「完全無欠、無傷」という意味に行き着きます。

「キュア」

「キュア」の英語は "cure" で、その一般的な意味は次のようなものです:

名詞

  1. 健康を回復するのに用いられる薬物などの治療。治療の手段。治療法
  2. (治療により)健康が回復すること。 病気が治ること
  3. 問題を解決したり状況を改善してくれるもの
      "The cats are a suitable cure for our mouse problem."
    (猫はネズミが引き起こす問題の解決にピッタリだ)

動詞

  1. (病気など不健康な状態を)治す。 (病気など不健康な状態が)治る。
  2. 誤った考えから目を覚まさせる、悪い習慣を止めさせる
      "A remark cured me of the illusion that I might be a good singer."
    (とある言葉が「オレには歌の才能があるかも」という幻想からオレの目を覚まさせてくれた)
  3. 是正する、(悪いものを)除去する
      "He cures a social evil."
    (彼は社会悪を是正する)

"cure" の語源をたどると「ケアする、面倒を見る、治療する」という意味に行き着きます。

結論

"heal" と "cure" は意味が重なる部分が多く、"heal" の説明に「"cure" と意味が同じ」となっている部分があったり、逆に "cure" の説明に「"heal" と意味が同じ」となっている部分があったりします。

そういう点からすると、「ヒール」と「キュア」はどっちがどっちでも良いのでしょう。

ただ、"heal" と "cure" の意味が重なる部分において微少な意味の差を探るならば、"heal" は「外科的に治す/治る」という意味合いが強く、"cure" は「内科的に治す/治る」とか「悪いものを取り除く」という意味合いが強いように思われます。 "heal" は語源的にも外面的な意味合いが強いでしょう。

そういう点からすると、HPを回復する魔法の名称として「ヒール」を採用し、毒素や病原体を体内から除去して状態異常を治す魔法の名称として「キュア」を採用するのは適切であると思われます。

留意点

"cure" には名詞がありますが "heal" には名詞がありません。 したがって、呪文名を名詞で統一しているのであれば 「ヒール・ウーンズ(heal wounds)」や「ヒーリング(healing)」という具合に "heal" を動詞として扱う表現を採用すると英文法的に正しくなります。 すべての呪文名を動詞で統一するのであれば「ヒール」でも問題ありません。