"kick the verse" の意味

"rap a verse" と "kick a verse"

"kick a verse" は "rap a verse" と同じ意味だと思われます。 STASHEDというサイトで、これらの表現が同じ意味で使われているからです:
"A$AP Rocky raps a verse from upcoming album."
"Rocky also kicked a verse off of his upcoming album during the photoshoot."

そして、後で述べるように "kick the verse" は "kick a verse" と同じ意味になります。

"rap a verse"

まず、"rap a verse" という表現の意味について考えて見ましょう。 "rap a verse" という表現も辞書には載っていませんが、「ラップで歌う」という意味でしょう。 "rap" だけでも「ラップで歌う」という動詞の意味があり、これは辞書にも載っています。 また、"verse" には「韻(ライム)を踏んだ詞」という意味があります。

したがって、"A$AP Rocky raps a verse from upcoming album." は「A$AP Rocky(著名なラッパー)がリリース間近のアルバムの曲をラップで歌った」という意味でしょう。 この文の "from" の使われ方からすると "verse" に「ラップの曲(詞)」という意味がありそうです。

"kick a verse"

そして、問題の "kick a verse" ですが、これが "rap a verse" と同じ意味であるのは "kick a verse" 以外の部分を日本語にしてみると明らかです。
「Rocky は写真撮影の最中にもリリース間近のアルバムから "kicked a verse" した。」

"kick a verse" も「ラップの曲を歌う」という意味だと考えて間違いないでしょう。 "kick a verse" の語感まで再現するなら「詩(うた)を演(や)る」という感じでしょうか。

"kick a verse" と "kick the verse"

"kick a verse" と "kick the verse" は同じ意味です。

"kick a verse" が使われるか "kick the verse" が使われるかは文脈により決まります。「文脈の違い」とは、そこまでの会話や文章において当該の "verse" に一度でも言及されているか、それとも当該の "verse" が初めて会話や文章に登場したのかということです。

会話の相手や文章の読み手が「ああ、あの "verse" のことだな」とわかるようにして "verse" という語が使われるときには、"the verse" となります。

"kick the verse" の使用例を以下に挙げておきます。
"During a recent visit to DJ Whoo Kid at Shade45 studios in New York, DeJ Loaf played a few unreleased tracks, including ... "Bird Call." Whoo Kid was so taken by the track that he called up director Dan The Man to shoot a video of her kicking the verse on the spot."
(先日、ニューヨークにある Shade45 スタジオに DJ Whoo Kid を訪れたとき、DeJ Loaf が未リリースの曲を数曲歌った。 その中の1つが "Bird Call" だったが、Whoo Kid はこの曲にすっかり魅了されてしまって、DeJ Loaf がこの曲をラップで歌っている場面をディレクターにビデオで撮らせた)

日本での認知度に差

"kick the verse" で検索すると日本語のページばかりがヒットします。 一方、"kick a verse" や "rap a verse" や "rap the verse" は英語のページばかりがヒットします。

日本の人気ミュージシャンが "kick the verse" を使ったために、日本では "kick the verse" という表現だけが突出して広まっているのでしょう。

"kick a rhyme" という表現も

"kick a rhyme" という表現も見つかりました(出典)。 "rhyme(ライム)" は「韻」という意味なので、"verse" と同じような意味になります。 "kick a rhyme" の意味も "kick a verse" と同じでしょう。
"Twist kicked a rhyme where she tried again to ... describe Byata and Chiba’s beef as a misunderstanding."
(Twist は Byata と Chiba の不平が誤解であることを再び訴えるライムを歌った

"kick the verse" は固定的な表現ではない

"kick a rhyme" の例文が記載されているページには、"write a verse(詩を書く)" と "kicked a verse" という表現も登場します。 同じページに "write a verse" が登場することから、"kick a verse" や "kick the verse" という表現がやはり熟語ではなく、"kick" と "verse" がそれぞれ個別的に用いられているのだと考えられます。

つまり、状況やニュアンスに応じて、"kick" や "rap" といった動詞、"verse" や "rhyme" といった名詞、そして "a" や "the" あるいは名詞の複数形を示す "-s" が自由に組み合わされ使用されるというわけです。 その証拠に、"kicked some verses" で検索しても使用例が見つかりました。