「ノーサンクス」の意味

「ノーサンクス」は "No, thanks."

「ノーサンクス」は、"No, thanks." という英語の発音をカタカナで表記したものです。

"No, thanks." の意味

"No, thanks." は、「いいえ結構です。お気遣いありがとう」という意味です。 「~をしてあげようか?」と尋ねられて、その厚意を断るときに用いる表現です。
"Would you like a slice of pie?" "No, thanks."
「パイを一切れいかがかしら?」 「いや、いらない。 ありがとう」

解説

「ノーサンクス」というカタカナ語を見ると、「感謝(サンクス)が無い(ノー)」という意味なのかと思ってしまいますが、そうではありません。

"No, thanks." と "No" の後ろにカンマ(,)が入っていることからもわかるように、「ノー」と「サンクス」は意味的に隔てられています。

"No" に対応するのが「いいえ結構です」で、"thanks" に対応するのが「(お気遣い)ありがとう」です。

"thanks" は "thank(感謝)" という名詞の複数形です(名詞の "thank" は一般的に複数形の "thanks" で用いられます)。 "Thanks." という名詞だけで「ありがとう」を意味する表現として使われます。

"Thanks." は "Thank you.(サンキュー)" とほぼ同じ意味です。 "No, thank you." は "No, thanks." とほぼ同じ意味です。

"No, thanks." のバリエーション

"No, thanks." には次のような変種もあります:
"Do you want some food?" "No, thanks anyway"
「何か食べる?」 「いらない。 気遣ってくれてありがとう」
上の例文に出てくる "anyway" は、「とにかく」とか「どの道」といった意味です。 したがって "Thanks anyway" を直訳すると「とにかくありがとう」となります。 「(申し出は断るものの)申し出を受けるか否かにかかわらず、とにかくいずれにせよ厚意には感謝する」ということです。
"Would you like a cup of tea?" "No thanks."
「お茶を一杯いかが?」 「いらない。ありがとう」

上の例文では、"No" の後ろのコンマ(,)が省略されてしまっています。 こうなってしまうと文法的には「感謝が無い」と理解するしかなく、本来の意味と逆の意味になってしまいます。

文法的な構造とは裏腹に現実では "No" と "thanks" が立て続けに発音されるために、英語を母国語とする人の間でも "No" と "thanks" の間の文法的な隔たりが意識されなくなり、ここまでに説明したような "No" と "thanks" の関係を理解しないままに、慣用句として "No thanks." を使う人が多いのではないかと思います。

"Thanks but no thanks"

上の話とも関連しますが、"Thanks but no thanks" という慣用表現があります。 "Thanks but no thanks" は、上述の説明に基づいて日本語にすると「厚意には感謝する。 結構です。 厚意には感謝する」となりますが、実際には「厚意には感謝するが結構です」という意味で使われています。

"Thanks but no thanks" とは次のような段階を経て生まれたのではないかと考えられます:
  1. "No, thanks" という区切られた2語が "No thanks" という1続きの表現だと認識されるようになる。
  2. それによって「結構です。しかし厚意には感謝する」というものだった "No, thanks" の意味が「結構です」へと変質する。
       この際の類推は恐らく次のようなもの: "No thanks" → 感謝しない → ありがたくない → 不要です(結構です)
  3. "No thanks" における "No" と "thanks" の関係について誤解している人が、"No thanks" という表現が「ありがたくない」という言い回しに由来する表現なのだと誤解する。
  4. 「他人の厚意を断るときに「ありがたくない」という気持ちが根底に流れる言い方を用いるのは失礼では?」と考える人が出てくる。
  5. 「『結構です(No thanks)』の前に謝意(Thanks)を述べておけば失礼度が緩和されるだろう」と思いつく人が出てくる。
  6. "Thanks but no thanks.(ありがたいが結構だ)" が使われ始める。