「アンタッチャブル」の意味とカタカナ語の由来

「アンタッチャブル」という言葉の意味を説明します。

「アンタッチャブル」の語源

「アンタッチャブル」は "untouchable" という英語をカタカナで表記した言葉です。

"untouchable" の意味

それでは、その "untouchable" はどんな意味なのでしょうか?

基本的な意味

"untouchable" の基本的な意味は「触れられない」です。

"untouchable" は "un" と "touch" と "able" の3つに分解できます。

  1. "un" ― 「否定」を意味する接頭辞
  2. "touch" ― 「触れる」という意味の動詞
  3. "able" ― 「~できる」という意味の接尾辞

「触れる」を意味する動詞 "touch" の後ろに "able" がくっついて「触れられる、触れることが可能な」を意味する形容詞 "touchable" となり、その頭にさらに "un" がくっついて「触れられない」を意味する形容詞 "untouchable" が生まれたわけです。

基本から派生した意味

"untouchable" は「触れられない」以外にも色々な意味で使われます。

まず、次の2つは「触れられない」とほぼ同じ意味です:

  1. 触れてはならない
  2. 手が届かない

"untouchable" はさらに、次の意味でも使われます:

  1. 議論してはならない、触れてはならない(話題など)
  2. (権力が強いなどの理由で)批判・避難・攻撃などを免れている、批判・避難・攻撃などの対象とならない
  3. (主に有害な)作用や影響を免れている(例. bacteria that are untouchable by an antibiotic 抗生物質が効かない(抗生物質の作用を免れる)細菌)
  4. いじってはならない、変更してはならない(例えば聖典の文面)
  5. 誰にも手に届かない水準にある、並ぶ者がいない、比肩する者がいない(例. an untouchable player 並ぶ者がいない天才プレイヤー)
  6. 手を触れたくない(関わりたくない)ほどに忌まわしい、あるいは汚らわしい
  7. ダリット(*)の、ダリットに関わる
  8. (野球用語)1本もヒットを許さないピッチャー。 相手チームから見てアンタッチャブル
  9. (*) ダリットはインドの身分制度「カースト」における賤民。 以前はダリットのことを「不可触民」と呼んでいた。この「不可触民」は "untouchable" を日本語にしたものだろう。現在ではインドでもパキスタンでも「不可触民(untouchable)」という呼び方は禁止されている。

以上は全て形容詞としての意味ですが、"untouchable" は名詞としても使われます。 名詞としての "untouchable" には次のような意味があります:

  1. 不可触民(上述のダリット)
  2. 社会や特定の層に無視されたり忌み嫌われたりする者
  3. 不可侵である、あるいは批判できないとみなされる存在
  4. 逮捕や起訴を避けるのに長けている犯罪者
  5. 買収に屈しない捜査官

「アンタッチャブル」の意味

「アンタッチャブル」というカタカナ語が生まれるきっかけとなったのは恐らく、"The Untouchables" というタイトルの映画あるいはドラマです。

この "The Untouchables" は、1920~30年代に米国のシカゴで悪名をはせたギャング「アル・カポネ」を取り締まった特別捜査チームの愛称です。 したがって、この "The Untouchables" の意味は上に列挙した "Untouchable" の意味のうち「買収に屈しない捜査官」です。 名詞です。

"The Untouchables" は複数形を示す "-s" が語尾に付いているので、「買収に屈しない捜査官たち」要は「買収に屈しない捜査チーム」という意味になります。

"The Untouchables" の由来

この特別捜査チームを率いていたのはエリオット・ネスという捜査官で、チームの誰一人としてアル・カポネの組織による脅迫や賄賂(ワイロ)に動じませんでした

そこで、Chicago Daily News という新聞紙の記者が同紙の紙面において、特別捜査チームを指して "untouchables" という言葉を使い始めました。 そこからは特別捜査チームは "The Untouchables" と呼ばれるようになりました。

Wikipedia(英語版)によると、この記者はインドの不可触民の話を読んで "untouchables" という語を特別捜査チームのニックネームに使用することを思いついたそうです。

1957年に発表されたエリオット・ネスの自叙伝が "The Untouchables" というタイトルで、この自叙伝に基づき作成されたドラマや映画も同じく "The Untouchables" というタイトルです。

よくある誤解

"untouchable" に「逮捕や起訴を避けるのに長けている犯罪者」という意味もあるせいか、"The Untouchables" がアル・カポネなどのギャングを意味するのだと誤解する人が後を絶ちませんが、"The Untouchables" は上述のようにエリオット・ネス率いる特別捜査チームのほうを指しています。

その他の "Untouchable"

エリオット・ネスの "The Untouchables" とは無関係なところでも、"The Untouchables" や "Untouchables" あるいは "Untouchable" の名を冠するバンドや歌謡曲、ドラマ、映画が多数あります。

日本でも「アンタッチャブル」という名前のお笑いコンビが存在するほか、2009年にテレビ朝日系列で「アンタッチャブル」というドラマが放映されました。 どちらの「アンタッチャブル」も「触れられない、触れてはならない」という意味が込められているのでしょう。 2009年ドラマ「アンタッチャブル」のキャッチコピーは「世の中には、触れてはいけない闇がある」と「その闇は、触れてはならない」というものでした。