「アンタッチャブル」の意味は? 由来は?

質問:「アンタッチャブル」とは、どういう意味ですか?

回答:「触れられない」や「触れてはいけない物/者」です。

詳しくは以下をご覧ください。

1. 英語に戻すと

「アンタッチャブル」を英語に戻すと "untouchable"。 この "untouchable" の意味が「触れられない」です。

言葉の成り立ち

"untouchable" は次の3つのパーツから成ります:

  1. un ・・・「否定」を意味する接頭辞
  2. touch ・・・「触れる」を意味する動詞
  3. able ・・・「~できる」を意味する接尾辞

2. 詳しい意味

"untouchable" は「触れられない」以外にも色々な意味があります。

2.1. 形容詞としての意味

  1. 触れてはならない
  2. 手が届かない
  3. (話題などに関して)議論してはならない、触れてはならない
  4. (権力が強いなどの理由で)批判・避難・攻撃などを免れて、批判・避難・攻撃などの対象とならない
  5. (主に有害な)作用や影響を免れて(1)
  6. いじってはならない、変更してはならない(2)
  7. 誰にも手が届かぬ、並ぶ者がいない、比肩する者がいない(3)
  8. 手を触れたくない(関わりたくない)ほどに忌まわしい/汚らわしい
  9. ダリット(4)の、ダリットに関わる
  10. (野球用語)1本もヒットを許さないピッチャー(5)
  11. (1) 例. bacteria that are untouchable by an antibiotic 抗生物質が効かない細菌

    (2) 例えば、聖典の文面を。

    (3) 例. an untouchable player 並ぶ者がいない天才プレイヤー

    (4) ダリットはインドの身分制度「カースト」における賤民。 以前はダリットを「不可触民」と呼んだ。 「不可触民」という言い方は "untouchable" を日本語にしたものだろう。 現在ではインドもパキスタンも「不可触民(untouchable)」という呼び方を禁止している。

    (5) 相手チームから見てアンタッチャブル。

2.2. 名詞としての意味

  1. 不可触民(上述のダリット)
  2. 社会や特定の層に無視されたり忌み嫌われたりする者
  3. 不可侵あるいは批判できないと見なされる存在
  4. 逮捕や起訴を避けるのに長ける犯罪者
  5. 買収に屈しない捜査官

3. カタカナ語「アンタッチャブル」の由来

3.1.「買収に屈しない捜査官」

カタカナ語「アンタッチャブル」の由来は恐らく、映画やドラマのタイトル "The Untouchables" です。

この "The Untouchables" は、1920~30年代に米国のシカゴで悪名をはせたギャング「アル・カポネ」を取り締まった特別捜査チームの愛称。 なので、この "The Untouchables" の意味は「買収に屈しない捜査官」です。

3.2. 英語の "The Untouchables" の由来

この特別捜査チームを率いたのはエリオット・ネスという名の捜査官。 チームの誰一人としてアル・カポネの組織による脅迫や賄賂(ワイロ)に動じませんでした

そこで Chicago Daily News 紙の記者が、特別捜査チームを指して "untouchables" という言葉を使い始めました。 それをきっかけに特別捜査チームが "The Untouchables" と呼ばれ始めました。

一説によると、この記者はインドの不可触民の話を読んで "untouchables" という語を特別捜査チームのニックネームに使用することを思いつきました。

1957年に発表されたエリオット・ネスの自叙伝のタイトルが "The Untouchables" で、この自叙伝に基づき作成されたドラマや映画のタイトルも同じく "The Untouchables" です。

3.3. よくある誤解

"untouchable" に「逮捕や起訴を避けるのに長ける犯罪者」という意味もあるため、"The Untouchables" がアル・カポネなどのギャングを意味すると誤解する人が後を絶ちません。 ですが、"The Untouchables" が指すのは上述の通りエリオット・ネス率いる特別捜査チームです。

4. 色々な「アンタッチャブル」

エリオット・ネスの "The Untouchables" とは無関係なところでも、"The Untouchables" や "Untouchables" や "Untouchable" はバンド・歌謡曲・ドラマ・映画の呼称として用いられます。

日本でも「アンタッチャブル」という名前のお笑いコンビが存在するほか、2009年にテレビ朝日系列で「アンタッチャブル」というドラマが放映されました。 どちらの「アンタッチャブル」も「触れられない、触れてはならない」という意味が込められるのでしょう。
2009年ドラマ「アンタッチャブル」のキャッチコピーは「世の中には、触れてはいけない闇がある」と「その闇は、触れてはならない」です。

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