目次
1. 詞と句と節
文法における「詞」と「句」と「節」とは次の通り:
- 詞 ・・・ 1つの語、単語。
- 句 ・・・ 1つの役割を果たす複数の語の集まりであって、「主語+動詞」で構成されないもの。
- 節 ・・・ 1つの役割を果たす複数の語の集まりであって、「主語+動詞」で構成されるもの。
2. 名詞・名詞句・名詞節
上記の「詞」と「句」と「節」の区分を名詞に当てはめると次の通り:
- 名詞 ・・・ 名詞として働く単語。
- 名詞句 ・・・ 1つの名詞として働く複数の語の集まり。「主語+動詞」で構成されない。
- 名詞節 ・・・ 1つの名詞として働く複数の語の集まり。 「主語+動詞」で構成される。
3. 用例
以下に、名詞の語・句・節の例を示します。
3.1. 名詞(語)の例
太字の部分が名詞です。
Cats are better pets than dogs.
猫の方が犬よりも良いペットだ。
Time is money.
時はカネなり。
3.2. 名詞句の例
3.2.1. 冠詞+名詞
"a cat" という「冠詞+名詞」だけでも厳密には名詞句です。
A cat is pregnant.
猫が妊娠している。
3.2.2. 形容詞+名詞
「形容詞+名詞」も名詞句。
Black cats are great animals.
黒猫は偉大な動物だ。
3.2.3. 名詞+形容詞句
「名詞+形容詞句」も名詞句です。
Cats with black fur bring good luck.
黒毛の猫は幸運をもたらす。
# "with black hair" が形容詞句。
"Cats with black fur" の意味の核をなす語("Cats")が名詞なので、"Cats with black fur" は名詞句です。
3.2.4. 名詞+形容詞節
次の例では名詞句が「名詞+形容詞節」で出来ています。 考え方は「名詞+形容詞句」と同じです。
Cats that have black fur bring good luck.
黒毛を有する猫は幸運をもたらす。
上記の文中の "that" は関係代名詞。 形容詞節とは関係詞節のことです(形容詞節=関係詞節)。
3.2.5. 不定詞の名詞的用法
次の例文では、不定詞の名詞的用法 "to think" が "need" の目的語です。
I need to think.
考える必要がある。
「不定詞の名詞的用法」では、複数の語が集まって名詞として機能します。 ゆえに「不定詞の名詞的用法」は「名詞句」です。
形容詞的用法との比較
上記の名詞的用法の例を、次の例文を比較してみましょう。 こちらの不定詞 "to think" は形容詞的用法です。
I need time to think.
上記の文では "to think" が名詞 "time" を修飾します。 名詞を修飾するのは形容詞なので、この不定詞 "to think" は形容詞的用法(そして形容詞句)です。
考える時間が必要だ。
3.3. 名詞節の例
3.3.1. 名詞節が目的語であるケース
They say that the taste of vengeance is bittersweet, but I find it to my liking.
ベンジェンスの味はホロ苦いと言うけれど、私はこの味が気に入ったわ。
# この "that" は名詞節を導く接続詞。
"I find it to my liking" は第5文型。 "to my liking(私の好み)" が補語(C)で、「it = to my liking」です。上記の文では、「主語+動詞」を核とする語群 "the taste of vengeance is bittersweet" が "say" の目的語です。
目的語になるのは名詞。 "the taste of vengeance is bittersweet" 全体を1つの名詞と見なせるわけです。
3.3.2. 名詞節が主語であるケース
次の文では "that" に導かれる名詞節が目的語ではなく主語です。 この "It" は形式主語で、"It" の中身は "that" 以下。
It was funny that he too forgot where he hid it.
彼自身もそれを隠した場所を忘れていたのが可笑(おか)しかった。