"age" には、名詞としての意味「年齢」のほか、動詞としての意味「年を取る」もあります。
この "age" の現在分詞や動名詞として、"ageing" と "aging" の両方を普通に見かけます。
どちらが正しいのでしょうか?
1. 語尾が "-e" の動詞に "-ing" を付けるときのルール
1.1. 原則
原則的には、"-e" で終わる動詞は語尾の "-e" を取って "~ing" を付けます。 例えば、次の通り:
- love(愛する) → loving
- hate(憎む) → hating
- argue(議論する) → arguing
- make(作る) → making
このルールに従うなら、"age" の -ing 形は "aging" です。
ですが、このルールには次の例外があります
1.2. 例外
英文法では、上記のルールの例外は次の4つとされます:
- "-ie" で終わる動詞 ・・・ "-ie" を取って "-ying" を付ける
- "-ee"、"-oe"、"-ye" で終わる動詞 ・・・ 語尾に "-ing" を付けるだけ
- "-inge" で終わる動詞 ・・・ 語尾に "-ing" を付けるだけ
- "age" ・・・ 一般的には語尾に "-ing" を付けるだけ
1. lie → lying | die → dying
(lie:嘘をつく、横たわる | die:死ぬ)
2. see → seeing | hoe → hoeing | dye → dyeing
(hoe:耕す | dye:染める)
3. singe → singeing
(singe:焦がす)
4. age → ageing1.3. "age" の場合
上記から "age" の -ing 形は、一般的には "aging" よりも "ageing" です。
2. 辞書での扱い
ところが、複数の辞書で "age" の -ing 形について次のように記載しています:
米国では "aging、 英国では "ageing"。
文法書の「"aging" の -ing 形は "ageing"」という説明は、英国の伝統的な用法でしょう。
でも実際には "ageing" の "e" が落ちた "aging" が米国で流通しているので、その実情に即して辞書では"aging" も記載するのでしょう。3. "ageing" の "e" が落ちた理由
米国で "ageing" から "e" が落ちて "aging" になったのは、それで不都合が無いためでしょう。
"dye" や "singe" の場合
"dye" や "singe"(*) の場合、"-ing" を付けるときに語尾の "-e" を取ってしまうと "dying" や "singing" となります。 これでは "die" や "sing" の -ing 形と同じ綴(つづ)りで見分けがつきません。
"age" の場合
これに対して "age" は、"e" を抜いて "aging" としたところで他の動詞の -ing 形と見分けがつかず困ることはありません。 -ing 形の綴りが "aging" になる動詞は "age" だけです。
こういうワケで、"dye" や "singe" は "-e" を取らずに "-ing" を付けるのに、"age" だけは "e" が落ちた "aging" が一般化しているのでしょう。