質問:「バーミリオン(ヴァーミリオン)」とは、どういう意味ですか?
回答:「丹色(の)」という意味です。
詳しくは以下をご覧ください。
目次
- 英語に戻すと
- 色について詳しく
- 定義
- 和英辞典が記載する訳語
- 実際の色
- 色素名 "vermilion"
- 語源
1. 英語に戻すと
「バーミリオン(ヴァーミリオン)」を英語に戻すと "vermilion" または "vermillion"("l" が2つ)です。
一般的なのは "l" が1つの "vermilion"。
このページの以下では "vermilion" と "vermillion" の両方を指して、"l" が1つの "vermilion" を用います。2. 色について詳しく
2.1. 定義
"vermilion" の定義は「明るい(鮮やかな)赤色~赤味がかったオレンジ色(の)」。 この定義に対応する日本語が「丹色(の)」です。
"vermilion" は名詞または形容詞として用います。 形容詞として用いるなら「丹色の」。
2.2. 和英辞典が記載する訳語
多くの和英辞典が "vermilion" の訳語として記載するのは「朱色(の)」。 ですが、国語辞典(デジタル大辞泉)が記載する「朱色」の意味は「黄色みを帯びた赤色」。 次のセクション「2.3. 実際の色」を見ても分かるように、"vermilion" と「朱色」は色が一致しません。
2.3. 実際の色
"vermilion" の色
"vermilion" の実際の色に関して見解は統一されていません:- Wikipedia の場合 ・・・
- colordic.org の場合 ・・・
Wikipedia が掲載する "vermiion" のカラーコードは #E34234。
colordic.org が掲載する "vermiion" のカラーコードは #ea553a。丹色と朱色
colordic.org が掲載する丹色と朱色は次の通り:
- 丹色 ・・・
- 朱色 ・・・
カラーコードは丹色が #e45e32 で、朱色が #eb6101
上記の「朱色」は国語辞典にあるように黄色みを帯びた赤色(つまりオレンジ色)です。
朱色と "vermilion" の比較
上記をまとめると:
- 朱色 ・・・ オレンジ色
- vermilion ・・・ 鮮やかな赤色~オレンジ色の中でも赤味がかったもの
ですので、「朱色 ≠ vermilion」です。
もっとも、国語辞典と平均的な日本人とで「朱色」が指す色に関する認識が違うかもしれません。 多くの日本人が「朱色」と聞いて思い浮かべる色は「丹色(≒vermilion)」 に近いかもしれません。
3. 色素名 "vermilion"
"vermilion" は色素の名称でもあります。 色素名としての "vermilion" は次の通り:
硫化第二水銀を成分とする明るい赤色の色素
硫化第二水銀は古代より中国・中近東・アメリカ大陸などで明るい赤色を作るのに使われてきました。
硫化第二水銀は水銀を含有し毒性が強いため、20世紀になると「カドミウム赤」と呼ばれる赤色顔料を使うようになりました。
「硫化第二水銀(を含む鉱物)」を意味する英語は "cinnabar"。 和名は「辰砂(しんしゃ)」です。
「辰砂」は「丹(に)」や「丹砂(たんさ、たんしゃ)」や「朱砂(しゅしゃ、すさ)」とも呼ばれます。
4. 語源
"vermil(l)ion" の語源は、「ケルメスの幼虫」を意味するラテン語 "vermiculus kermes" です。
ラテン語 "vermiculus kermes" から、古フランス語ついで中世英語を経て13世紀に現代英語 "vermilion" が成立しました。
ケルメスとは
ケルメスはカイガラムシの一種で、古代のエジプト/メソポタミア/ギリシャ/ローマで赤色の染料の原料として用いられました。
食品を赤色に染めるのに着色料コチニール色素が用いられますが、このコチニール色素もカイガラムシの一種が原料です。