1.「イノセント」は "innocent"
「イノセント」を英語に戻すと、"innocent" です。
2. "innocent" の基本的な意味
"innocent" は形容詞で、意味は「無邪気な」や「罪を犯していない」です。
「無邪気な」の意味は日常的な文脈で使われ、「罪を犯していない」の意味は法律的な場面で使われます。
「罪を犯していない」について
「罪を犯していない」という表現はまわりくどく響きますが、"innocent" を簡潔に「無罪の」とは訳せません。 "innocent" の人が「無罪」だとは限らないからです。
「無罪」とは、「悪事を働いていない」という意味ではなく「罪を犯していないと裁判所が認めた」ということ。
これに対して "innocent" の意味は、「裁判所が無罪と認めた(1)」ではなく「(判決に関わらず)被告が悪事を働いて」です(2)。
(1)「無罪の」に対応する英語は "not guilty"。
(2) ゆえに、冤罪で有罪になった人は "innocent"。用例
an innocent child
無邪気な子供
She was innocent of all charges.
彼女はすべて罪状に関して、罪を犯していなかった。
3. "innocent" のその他の意味
"innocent" には、「無邪気な・罪を犯していない」という基本的な意味から派生した次の意味もあります:- ~を知らない、~の自覚が無い
- 《法律用語》善意の(悪意が無い)(*)
- (いたずらなどが)害のない、危険でない
- (視線や表情などが)率直な
- 世間の荒波に揉まれていない、初心(うぶ)な、能天気な、頭の回転が遅い
- ~が欠如している、無知な、経験不足の
- (腫瘍が)悪性ではない
(*)「法律的に問題がある行為をしていても、その自覚がない」という意味。
例えば、真っ暗闇で周囲がよく見えない状況のときに他人の土地に入り込んでしまった場合、その人は「善意の侵入者(innocent trespasser)」であり、意図的に他人の土地に侵入する侵入者と法律的な扱いが異なる。
用例
Othello is a master of games on the battlefield, but he is innocent of social games.
戦場では勝負の達人である軍人オセロだが、社交上の駆け引きはまったくの素人だ。
Much of what passes for general history-writing about the Ottoman Empire is in reality quite innocent of 'history' and reduces the Ottomans and their world to a theatre of the absurd.
オスマントルコ帝国の歴史について書いたとされる書物の多くは、実のところ「歴史」のことを何もわかっておらず、オスマントルコ人とその世界を馬鹿者の劇場としてしか扱っていない。
上記の例文にあるように、"innocent" と共に使われる前置詞は "of" です。
4. "innocent" の名詞の意味
"innocent" は本来は形容詞ですが、名詞の意味でも用いられます。
- 無邪気な子供、幼い子供
- 物事の機微に通じていない人、単純な人、経験不足の人、洗練されていない人
- ローマ法王の名前(インノケンティウスI世~Ⅵ世)を英語で表記すると「イノセント」
5. "innocent" の語源
"innocent" は「無害」を意味するラテン語 "innocens" に由来します。 12~13世紀ごろに古フランス語を介して英語に取り込まれました。