"appreciate" の6つの意味

"appreciate" の根源的な意味は「~の価値を判断する、品定めする」です。

現在では、この根源的な意味から派生した様々な意味で使われますが、そうした様々な意味は次の6つに大別されます。

1つ目の意味

「~の価値・有用性・意義を認める」
「~を高く評価する」
「~の良さがわかる」

Her abilities are not fully appreciated by her employer.
彼女がどれだけ優秀であるかを彼女の雇用主は完全にはわかっていない
Even those who don't appreciate Shakespeare's genius as much as I do can appreciate this film.
私と同じほどにシェイクスピアの天賦の才がわからない人たちでも、この(シェイクスピアの)映画なら良さがわかる
Help me to appreciate Shakespeare please.
シェイクスピア(の作品)(の良さ)がわかるようにしてください。
You don't have to be a scientist to appreciate the importance of science.
科学の重要性を理解するのに科学者である必要はない。
Individuals can appreciate science without being a scientist.
科学者でなくても科学(の意義)を理解することはできる。

2つ目の意味

「(状況・問題の深刻さを)理解する、把握する」
「(人の気持などを)わかる」

I don't think you appreciate the difficulties his presence will cause.
彼がいなくて大変になることを君はよくわかっていないんじゃないか。
You don't appreciate how dangerous these matters can be.
こうした問題がどれだけ危険となり得るかを君はわかっていない
I appreciate your problems.
君が抱える問題については把握している
I can certainly appreciate how you feel. I would feel the same in your situation.
お気持ちはよくわかります。 私だってその状況なら貴方と同じように感じていたでしょう。

3つ目の意味

「~に感謝します(会話文で)」
「~に感謝の気持ちを抱く、謝意を述べる(非会話文で)」

「感謝」の意味で用いられる "appreciate" は「供与してくれた行為や物の価値を認める」という意味から分化して「~に感謝する」という意味で用いられるようになったと考えられます。

~に感謝します(会話文で)

相手に面と向かって謝意を伝える "appreciate" です。 常に、主語が「私(たち)」で、目的語が「あなた(たち)」か「あなた(たち)のしてくれた事や与えてくれたもの」。

"appreciate" の目的語が「物事」

Thanks. I really appreciate your help.
ありがとう。 手伝ってくれて本当に助かりました

上の例文では "thanks(thank you)" と "appreciate" が同時に使われているので、"appreciate" に対応する日本語として「助かりました」を持ってきました。

"appreciate" の目的語が「人」

次に、「あなたの行為」ではなく「あなた」そのものが "appreciate" の目的語となっている例を2つ挙げきます。
I appreciate you for this.
このことに関して、あなたに感謝します
I appreciate you for being critical because it has enabled me to be more sensitive to other person's feelings.
あなたが私に対して批判的であることに感謝します。 なぜなら、それによって私は他人の気持ちにいっそう敏感になれたからです。

上の2つの例文から分かる通り、「感謝の理由」を示すのに使われる前置詞は "for" です。

"appreciate" の目的語が that 節

感謝を示す意味で用いられる "appreciate" は that 節を取ることもできます:
I appreciate that you listened to me last night.
昨晩は私の話を聞いてくれてありがとう

~に感謝の気持ちを抱く、謝意を述べる、謝意を表す(非会話文で)

謝意を相手に伝えるのではなく「感謝の気持ちの存在」を客観的に述べる "appreciate" です。
この意味の "appreciate" は「主語が一人称かつ目的語が二人称」になるのは稀です。 相手に面と向かって謝意を述べる意味ではないからです。
I appreciated their help.
私は彼らに、手伝ってくれたことに対する謝意を述べた
上の文は「私」が「彼ら」に謝意を述べる場面で使用した言葉ではなく、「私」が「彼ら」に謝意を述べたことを報告しています。 「私」が「彼ら」に謝意を述べる場面で使用した言葉は次のものでしょう:
"I really appreciate your help."
「手伝ってくれて本当に助かりました

"thank" と併用

次の例文では、「感謝の気持ちの存在」を "appreciated" が担当し、「感謝の言葉を述べた」というのを "thanked" が担当しています。
They appreciated me and thanked me.
彼らは私に感謝して、お礼を言った。
上の文で「彼ら」が「私」に謝意を述べるときに使用した言葉は次のようなものでしょう:
"We really appreciate your help."
「手伝ってくれて本当に助かりました

主語が一人称かつ目的語が二人称

次の例文は、「感謝の気持ちの存在」を客観的に述べる文において「主語が一人称かつ目的語が二人称」となる稀な例です。 といっても、形式的に客観的な視点であるだけで本質的には相手に対して感謝を述べていますが。
I wanted to let you know how much I appreciate you for being my manager and mentor.
あなたが私のマネージャーであり指導者でもあってくれることに対して私がどれだけ感謝しているかをあなたに伝えたかった。

4つ目の意味

「~して頂けるならありがたいです」

何かを非常に丁寧に要求するときに用いられる婉曲表現です。 この "appreciate" の基本的な意味は「もし~して頂ければ感謝に値するのになあ」です。 "appreciate" がこの意味で使われるとき、文は必ず仮定法です。

"if" が使われていない(けれど仮定法の)例文

We would appreciate guidance from an expert.
専門家に指導して頂ければ助かります
この文を仮定法であることが明白となるように書き換えると、次のようになります:
If you gave me guidance from an expert, we would appreciate it.

上の文の "it" が指すのは "If you gave me guidance from an expert" の部分です。

"if" が使われている例文

次の2つの例文では、書き換えるまでもなく仮定法の "if" が使われています:
We would really appreciate it if you could come.
君に来てもらえると本当にありがたいんだけど。
I would appreciate it if you would deal with this matter urgently.
この問題に至急対処して頂ければ助かります

"I would appreciate it if..." の "it"

"I would appreciate it if..." という表現では "it" が必ず必要です。

次のように "it" が欠けているのは間違いです:
I would appreciate [ ] if you would deal with this matter urgently.
その理由は次の2つ:
  1. 「感謝する」の意味の "appreciate" は他動詞としての用法しかないので、必ず目的語が必要。
  2. 副詞節である条件節(if 節)は目的語になれない。 目的語になれるのは名詞節(*)

(*) したがって、"I would appreciate it if..." の "it" は形式目的語ではありません

形式目的語とは次のようなものです:

「動詞の目的語が名詞節や名詞句であるとき、それを動詞の直後に置くと長ったらしくて理解しにくいから、目印としてとりあえず "it" を動詞の直後に置き、"it" の中身である名詞節や名詞句は後ろに回す」

"I would appreciate it if..." の "it" が指すのは「...が実現したときの状態」でしょうか、内容的には "if" 以下が述べる内容と同じです。 ですが条件節が "appreciate" の目的語になれない以上、"it" は形式目的語ではありません。 形式目的語では、中身に当たるモノ自体も目的語です。

5つ目の意味

「(否定文で)気に入らない」

この意味の "appreciate" は口語的な用法で、多くの辞書には記載されていません。 「感謝する」の意味の "appreciate" が否定文において「感謝しない」の意味で使われていたのが「感謝しない → ありがたくない → 気に入らない、気に食わない」と意味が変わったのでしょう。
If you don't appreciate how I pronounce my words, too bad.
私の言い方が気に入らなかったなら残念だ。
I don't appreciate that tiny mole on your neck that looks like a booger, but you don't hear me sayin' about it, do you?
私は君の首にあるハナクソみたいなホクロが気に食わない。 でも、私がそのことについて君に何か言ったことがあるか?
My apologies if you don't appreciate how I present my views, but...
私の見解の述べ方が気に入らなかったのなら謝るが...

6つ目の意味

「(価値が)上がる」

During the past four years, the land appreciated in value by $600,000.
過去4年間のうちに、その土地の価格は60万ドルも上がった
The yen will appreciate (the dollar weaken).
になるだろう(ドルは安くなる)。

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