質問:『ダウントン・アビー』という映画がありますが、この映画タイトルの「ダウントン」や「アビー」とは、どういう意味ですか?
回答:「ダウントン(Downton)」は、英国で地名や人名として用いられる語です。 "Downton" と呼ばれる場所が英国にいくつか実在します。
「アビー(abbey)」の意味は「修道院」です。
詳しくは以下をご覧ください。
1.「アビー」について詳しく
- "abbey" は「教会の建物」と「修道僧が暮らす建物」から成ります。
- "abbey" は「男子修道院(monastery)」と「女子修道院(convent)」の総称です。(*)
- 「修道院を改装して作られた邸宅」も "abbey" と呼ばれます。 運営が停止された修道院の建物を邸宅として利用するわけです。
(*) つまり "abbey" が "monastery" と "convent" の上位概念。 両方の意味を含む。
2.「ダウントン」の語源
"Downton" は "down" と "-ton" から成ります:
- down ・・・「丘」を意味する古語(*)。 特に、①砂丘、または②石灰質で木が育ちにくく草地に覆われた丘を指す。
- -ton ・・・「町」や「建物の集まり」を意味する接尾辞。「ワシントン(Washington)」の "-ton" もこれ。
(*) この古語の "down" はカタカナ語「下方へ」的な意味で使われる前置詞・副詞・形容詞の "down" の語源であり、「砂丘」を意味する英語 "dune" の語源でもある。
したがって、"Downton" の意味は「丘の上の集落」や「丘の近くの町」といったところです。
3.「ダウントン・アビー」について
3.1. 架空の地名
"Downton Abbey" は上記の "Downton" と "Abbey" を併せた架空の地名。 映画『ダウントン・アビー』(*) の作中に登場する貴族の所有地の呼称です。
(*) 1910~1920年代の英国を舞台とする映画。 原題は『Downton Abbey』。
3.2. 呼称が成立した経緯
(映画の作品世界の中で)"Downton Abbey" という呼称に至った経緯は次のようなものでしょう:
- "Downton" と呼ばれる土地に修道院(abbey)が作られた。
- その修道院は "Downton Abbey"(ダウントンの修道院)と呼ばれた。
- 修道院が運営を終了したので、貴族が修道院の建物と敷地を買い上げて邸宅に改装した。
- その貴族の邸宅を含む一帯の土地が "Downton Abbey" と呼ばれるようになった。
3.3.『Downton Abbey』のロケ地
映画やドラマの『Downton Abbey』が撮影された(実在の)場所は、"Highclere Castle" と呼ばれ英国貴族が所有する城(邸宅)です。