質問: 2023年3月に日本で公開予定の映画『フェイブルマンズ』。 この映画のタイトルは、どういう意味ですか?
回答:「フェイブルマン一家」という意味です。
詳しくは以下をご覧ください。
目次
1. 解説
映画『フェイブルマンズ』の概要
『フェイブルマンズ』は、著名な映画監督スティーブン・スピルバーグの青春時代に基づく映画です。
「The Hollywood Reporter」によると、映画の作成中にスピルバーグ監督は懐かしさのあまり何十回となく泣いたそうです。
映画の主人公の名はサミー・フェイブルマン(Sammy Fabelman)。 名字が「フェイブルマン」です。
自叙伝そのものではないので、主人公の名前が「スティーブン・スピルバーグ」ではない。
フェイブルマンズ → フェイブルマン一家
次に示すのは、『フェイブルマンズ』の意味が「フェイブルマン一家」になる理由です:
- 『フェイブルマンズ』の原題は "The Fabelmans"。
- 英語では「the +名字の複数形」で「その名字の一家」の意味。
- なので、"the Fabelmans" なら「フェイブルマン一家」。
"man" の複数形は "men"。 でも、"Fabelman" の複数形は "Fabelmen" ではない。 "Fabelman" が人名(固有名詞)だから。
例えば "Greenman" という名字も複数形は "Greenmen" ではなく "Greemans"。2. 人名「フェイブルマン」の由来
「The Hollywood Reporter」によると、"Fabelman" という名字を考案したのは脚本家のトニー・クシュナー(Tony Kushner)。 スピルバーグ監督と共に映画『フェイブルマンズ』の脚本を作成した人物です。
"Fabelman" の "fabel" はドイツ語。 ドイツ語 "Fabel" は英語の "fable" に相当する語(*) で、意味は「寓話、作り話」。
映画『フェイブルマンズ』は純然たるドキュメンタリー作品ではなくフィクション(作り話)的な要素もあります。
そこでトニーは、"Fabel" というドイツ語が好きだったこともあり、主人公の名前を "Fabelman" にしました。
(*) ドイツ語と英語では、"e" と "l" の位置が異なる。
補足
- つまり "Fabelman" の意味は「作り話の人、架空の人」と察せられる。
- 脚本家トニーによると、"Fabelman" の成り立ちには「スピルバーグ(Spielberg)」という名前の意味も影響する。 "Spielberg" はイディッシュ語(*) で「演劇 + 山(speil + berg)」の意味にも理解されるが、「演劇」は「作り話(Fabel)」と関わりがある。
- "Fabelman" の "Fabel" はドイツ語。 でも、"Fabelman" という名字の全体としては英語。 "man" の部分は英語だし、"Fabelman" を「フェイブルマン」と読むのも英語の発音。
- "Fabelman" は現実の人名ではない(少なくとも一般的ではない)。「則巻千兵衛」(2) の「則巻」のように、実在してもおかしくないけど実在はしない名字という感じ。
(1) ドイツ語とユダヤ語が入り混じった言葉。 スピルバーグ監督も脚本家トニーもユダヤ系。
(2) 古(いにしえ)の漫画『Dr.スランプ アラレちゃん』に登場するキャラクター。 『アラレちゃん』の作者は鳥山明。『ドラゴンボール』の作者と同じ。 「則巻千兵衛」と「則巻アラレ」は、お菓子の「せんべい」と「あられ」をモジッた名前。