質問:「第四の壁」とは、どういう意味ですか?
回答:「映画/マンガ/小説などの作品の中と外を隔てる壁」という意味です。 マンガで言えば「コマ割りの枠」です。
詳しくは下記をご覧ください。
1. 言葉の由来
「第四の壁」は演劇に由来する言葉です。
演劇では、舞台の前後左右のうちの3方が壁に囲まれ、壁が存在しない残る1方から観客が劇を鑑賞します。
このとき観客と舞台上の出演者は暗黙の了解で、その「残る1方」にも壁の存在を想定します。 出演者は観客を無視してキャラクターを演じ、観客はそれを当然として受け止めます。 仮に観客が出演者を野次っても、出演者は野次を無視します。 存在しない壁が存在するかのように振る舞うわけです。
この「残る1方(=存在しない壁)」が「第四の壁」です。 舞台に実在する3つの壁に次ぐ4番めの(架空の)壁が「第四の壁」です。
「第四の壁」は英語で "fourth wall(フォース・ウォール)" です。 "wall" は「壁」という意味。 "fourth" は「4」を意味する "four" の序数詞。
フランス語で「第四の壁」は "quatrième mur"。「第四の壁」の概念はフランスの哲学者 Denis Diderot が提唱し始めたので、英語の "fourth wall" よりもフランス語の "quatrième mur" が先にあったはずです。2.「第四の壁を破る」
コミカルな演劇では出演者が客席に語りかけるなど「第四の壁」が存在しないかのように振る舞うことがあります。 こうした行為は「第四の壁を破る(break the fourth wall)」と呼ばれます。
「第四の壁を破る」のは作品世界の枠組みを乗り越えるメタな行為で、ギャグとして用いられます。
真面目で常識的な劇では「第四の壁」が破られることは無いので、「第四の壁を破る」のは常識の壁を破る型破りな行動。 ゆえにギャグとして機能します。
「第四の壁を破る」という表現は、映画やマンガにも用いられます。
2.1. マンガで言えば
マンガの場合、コマ割りの枠が「第四の壁」に相当します。
次は、マンガにおける「第四の壁を破る」の例です:
- 作中のキャラクターがコマ割りの枠を破ったり激突したりする。
- 作中のキャラクターが1つのコマから別のコマに移動する。
- 作中のキャラクターが「自分が作中の登場人物である」ことを認める言動をする。
- 作中のキャラクターが(キャラ同士で会話するのではなく)読者に向かって話しかける。
2.2. 映画や小説の場合
映画や小説には演劇の舞台もマンガのコマも存在しません。 でも「第四の壁を破る」のは可能です。
作中のキャラクターが「自分は作中のキャラクターだ」という認識を示せば「第四の壁を破る」ことになるので、映画や小説のキャラクターが観客/読者に話しかけたり、「自分は作中のキャラクターに過ぎない」と認める旨の発言をしたりすれば「第四の壁」を破ったことになります。