質問: "Let it snow." とは、どういう意味ですか?
回答:「雪が降りますように」などの意味です
Let it snow tonight.
今夜、雪が降りますように。
詳しくは以下をご覧ください。
1. 単語の意味
次は "let it snow" における(1) 各語の意味です:
- let ・・・「~であるといい、~でありますように」という願望を言い表す動詞。
- it ・・・ 特に意味は無い。 "snow" という動詞の主語が必要だから形式的に置かれている。
- snow ・・・「雪が降る」を意味する動詞。 "let it snow" では原形不定詞(2) として用いられる。
(1) "let" も "it" も "snow" も、ここに記載する以外の意味と用法がある。
(2) "to" を伴わない不定詞。 "let it to snow" ではなく "let it snow" ということ。2. 解説
2.1. "Let it snow." は命令文
"Let it snow." は命令文です。
命令文とは「~しなさい」と誰かに(*) 指示する文のことです。
(*) "Let it snow." が誰に対する指示かは後述。
命令文は一般的には動詞で始まります。
命令文の例
次は、簡単な命令文の例。
Eat!
食べなさい!
次は "let" を用いる命令文の例。
Let him sleep.
彼を眠らせてやりなさい(眠るのを邪魔するな)。
# この "let" は「~させてやる」の意味。
2.2.「願望」を意味する "let"
「願望」(1) を意味する "let" の使い方は、「許容」(2) の意味の "let" と同じです。
すなわち次の通り:
let + 名詞(代名詞)+ 動詞の原型
〔名詞〕が〔動詞の原形〕しますように
(1) ~であるといい、~でありますように
(2) ~させる、させてやる「願望」を意味する "let" の用例
Let it rain tomorrow.
"Don't let~" の場合は逆に、「~でありませんように」という意味です。
明日、雨が降りますように。
Don't let him be the one who died, she prayed.
亡くなったのが彼ではありませんように、と彼女は祈った。
3. 「願望」の "let" の由来
3.1. 神に向けた命令文
"let it snow" の "let" は「願望」を意味する動詞です。 和訳のときには、「誰に対する命令なの?」などと深く考えなくても、"let" を「~であるといい、~でありますように」と訳せば事足ります。
ですが、"let it snow" などに用いられる「願望」の "let" は、もともとは「神さま」に対し「~してくれ、~せよ」と要請(*) する表現だったと考えられます。
(*) "let" に「~してくれ、~せよ」という要請の意味もある。
3.2. この説の根拠となる例
次の文を見てください。
Please God, let it snow tomorrow.
神様お願いだ。 あした雪を降らせてくれ。
上記の文は神に呼びかけていますから、明らかに神さまに対する命令文。 この "let" が「要請」の意味なのも明白(*) です。
(*) この "let" は願望(~であるといい、~でありますように)の意味に訳せない。 そう訳そうとすると意味が通らない。
上記の文から "Please God" を省くと、次の通り「願望」の文です。
Let it snow tomorrow.
あした雪が降りますように。
よって、「願望」の "let" は、もともとは「神さまへの要請」なのだと思います。
4. "let it snow" が「容認」を意味することも
"let it snow" の "let" が「願望(積極的に望む)」ではなく「容認(消極的に認める)」を意味することもあります。 例えば次の文。
Let it snow - it won't spoil our afternoon.
この "let" も、文の成り立ちとしては「神さまに対する指示」と見なせます。 神さまに向かって、「神さまよ、雪のヤツに降らせてやりな。 雪が降っても問題ねえ」というわけです。
降ればいいさ(雪のやつに降りたいだけ降らせてやれ)。 雪で私たちの午後が台無しになりはしない。
神さまに向かって偉そうな口の利き方ですが、文の成り立ちとしては、こういうことだと思います。