2018年に日本で公開された映画「レッド・スパロー」。 この「レッド・スパロー」とは、どういう意味でしょうか?
1. 英語に戻すと
「レッド・スパロー」を英語に戻すと "red sparrow" です。
映画「レッド・スパロー」の原題(元の英語のタイトル)も "Red Sparrow" です。
2. "red sparrow" の直訳
"red sparrow" の直訳は「赤いスズメ」です。
単語の意味は次の通り:
- red ・・・「赤い」を意味する形容詞
- sparrow・・・「スズメ」を意味する名詞
以下で、"red" と "sparrow" について詳しく述べます。 特に "sparrow" については、詳しなり過ぎた自覚があります。
3. "sparrow" について
英語の "sparrow" は、スズメ目(なかでも特に passeroidea 上科)に属する小鳥のうちスズメに似る茶色系あるいは灰色系の小鳥全般を指します。
3.1. 英国の "sparrow"
英国で "sparrow" と呼ばれるスズメは恐らく主に Passer domesticus(house sparrow、イエスズメ)です。
3.2. 日本のスズメ
Passer domesticus は日本には生息していません 日本に生息するスズメは Passer montanus(和名:ユーラシアスズメ)です。
3.3. 米国のスズメ
米国ではイエスズメが人為的に持ち込まれ定着しています。 ですが、一部の辞書は「北米で『スズメ』は主にチャガシラヒメドリ(Spizella passerina)などの小鳥を指す」としています。3.4. 映画「レッド・スパロー」における "sparrow"
映画「レッド・スパロー」では、女スパイを指し示す隠語として "sparrow(スズメ)" という語が使われているようです。
ですが、"sparrow" に「女スパイ」の意味はありません。
ですが、映画 "Red Sparrow" の原作である小説 "Red Sparrow" の作者は元CIA局員なので、諜報業界では女スパイを「sparrow(スズメ)」と呼ぶのかもしれません。
4. "red" について
"red" すなわち「赤色」は社会主義や共産主義を象徴する色です。
赤色は18世紀のフランス革命の頃から革命の象徴とされてきました。 革命で流された血の色の象徴として、革命時に使用される旗の色に採用されたのです。
それは19世紀の社会革命においても同様だったので、旧ソビエト連邦(現在のロシア)や中国の国旗は赤色になりました。 その結果、「赤」は社会主義や共産主義を暗示する色として世界的に認知されています。
映画「レッド・スパロー」は、ロシアの女スパイの物語なので「レッド」という言葉が入るのでしょう。 ロシアの国旗は旧ソビエト連邦(ソ連)の国旗と違って赤一色ではなく白・青・赤の各色が横に3段に並ぶ図柄ですが、「ロシア=ソ連」というイメージが残っているのだと思われます。
5. 映画タイトル "Red Sparrow" の真の意味
上記を踏まえると、"Red Sparrow" の真の意味は「ロシアの女スパイ」だと考えられます。