質問:「アベンジ」と「リベンジ」は、どう違うのですか?
回答: 3つ違いがあります。
以下をご覧ください。
1. 英語に戻すと
- リベンジ ・・・ revenge
- アベンジ ・・・ avenge
2. 3つの違い
2.1. 品詞の違い
- revenge ・・・ 動詞「復讐する」または名詞「復讐」として使われる。
- avenge ・・・ 動詞「復讐する」としてのみ使われる。 現代では名詞としては使われない。
2.2. 言葉の雰囲気の違い
「Longman」や「Oxford Learner's」といった実用性重視の辞書によると、"revenge" と "avenge" の意味は同じ(*) で「復讐(する)」。
両者の違いは言葉の雰囲気。 "revenge" が日常的な言葉で、"avenge" がフォーマルな文語です。
(*) 上述の品詞の違いはある。 "avenge" は動詞のみ。
2.3. 意味の違い
「Merriam-Webster」など伝統的なスタイルの辞書によると、"revenge" と "avenge" は次のように意味が異なります:
- revenge ・・・ 自分(や自分の家族/友人)に害を為した者に報復する(こと)
- avenge ・・・ 自分以外の誰か(*) のために報復する、復讐を代行する、悪人を懲らしめる
(*) 自分の家族や友人を含む。 なので、"revenge" と意味が重なる部分がある。
両者の違いが明確な訳し方だと、"revege" が「私怨を晴らす」で "avenge" が「義憤を晴らす」。
使い分けの例
例えば「正義のヒーローが悪を討つ(*)」を言い表わすのに相応(ふさわ)しいのは「アベンジ」です。
(*) 社会(ヒーローにとっては他人)が受けた被害を、社会に代わって復讐する。
その一方で、「(競技などで)前回の対戦で自分が負けた相手に勝つ」を言い表すのに相応しいのは「リベンジ」です。
3.「リベンジャー」と「アベンジャー」
3.1. 原語と意味
- リベンジャー(revenger) ・・・ 復讐する人、復讐の道具
- アベンジャー(avenger) ・・・ 復讐する人、復讐の道具
接尾辞 "-er" に「~する人/物」の意味があります。「復讐の道具」とは「報復に用いる銃器/兵器/剣」など。
3.2. 違い
上記の通り、「リベンジャー」と「アベンジャー」の意味は同じ。 ですが、この2つの言葉は「リベンジ」と「アベンジ」の違いを踏襲します。 つまり、「リベンジャー」は「自分自身の恨みを晴らす」というニュアンスを帯び、「アベンジャー」は「他人の恨みを晴らす」というニュアンスを帯びます。
ですので、正義のヒーローが登場する映画のタイトルには「アベンジャー」が相応しく、家族を殺された元刑事が復讐する映画のタイトルには「リベンジャー」が相応しい。
3.3. 興味深い使い分け
兵器の呼称
戦闘機や戦車やミサイルなど兵器の呼称は、おしなべて "Avenger"。 "Avenger" に「悪を懲らしめる」というニュアンスがあるためでしょう。 常に「自国が正義」なのです。
マーベル・コミック
米国の漫画ブランド『マーベル・コミック(Marvel Comics)』では、同ブランドの色々なマンガに登場する正義のヒーローを一堂に集めた作品も作っています。 そうして一堂に会したヒーロー集団の呼称は "Avengers" です。
これに対し、悪の怪人が集まったグループの呼称は "Revengers"。 正義のヒーローが悪を討つのが「アベンジ」で、悪い怪人連中がヒーローに討たれた私怨を晴らすのは「リベンジ」というわけです。
悪い怪人が社会に害をなす → 正義のヒーローが世間に代わって怪人にアベンジ → 怪人がヒーローにリベンジ