「スカボローフェア」の意味を教えて!

質問.スカボローフェア」って、どういう意味ですか?

回答.スカボローの市(いち)」という意味です。

詳しくは以下をご覧ください。

元の英語

「スカボローフェア」は "Scarborough Fair" という英語をカタカナにした言葉です。

  • Scarborough ・・・ 町の名前です。
  • fair ・・・「(いち)」という意味があります。
(いち)」とは、商品を売買する催しのことです。 例えば、「ブック・フェア開催中!」などの「フェア(fair)」も、「市(いち)」の意味の "fair" です。

スカボローフェアとは

スカボローフェアは、英国北部にある海沿いの町スカボロー(Scarborough)で13世紀から18世紀まで500年間にわたって毎年、8月15日~9月29日まで開催されていた(いち)です。

スカボローフェアの歴史

スカボローの市(フェア)は 1253年1月22日にイングランド国王ヘンリー三世が発行した特許状(royal charter )により開催を許可されました。

スカボローフェアは商人だけでなく食事や娯楽を提供する業者や見物客も多く集まる、お祭りのようなものでした。 最盛期には全ヨーロッパから商人が集まって来たと言います。

しかし、1383年にスカボロー町のすぐ隣にあるシーマー村(Seamer Village)がフェア開催の特許状をリチャード二世から得てフェアが開かれるようになると、スカボローフェアは衰退し始めました。
スカボロー町とシーマー村でフェア(市)の開催時期がかぶっていたのでしょうか。 シーマーのフェアのほうがスカボローのフェアよりも商人から徴収する税金が安かった可能性も考えられます。

その後、フェアを開催する地域が増えて競争が激化したりスカボローフェアの課税額が上がったりでスカボローフェアは衰退を続け、1788年にスカボローフェアは最後を迎えました。

スカボローフェアの歌

トラディショナルな『スカボローフェア』

スカボローフェアの歌といえば「サイモンとガーファンクル」の『スカボローフェア』が有名ですが、彼らの曲は英国の伝統的(トラディショナル)な曲『スカボローフェア』に基づいています。

トラディショナルな『スカボローフェア』には、メロディーも歌詞も異なる数多くのバージョンが存在します。

『スカボローフェア』の様々なバージョンの中には、登場する地名が「スカボローフェア」ではないものや、地名が出て来ないものもあります。

歌詞に「スカボローフェア」という地名や「セージに、ローズマリー、タイム」とハーブが登場するバージョンの『スカボローフェア』の歌詞は19世紀になってから生まれたと考えられています。

トラディショナルな『スカボローフェア』の例

トラディショナルな『スカボローフェア』の歌詞の1つは次のようなものです:
"O, where are you going?" "To Scarborough fair,"
(Savoury sage, rosemary, and thyme)
"Remember me to a lass who lives there,
For once she was a true love of mine.
「おや、どちらへ?」「スカボローの市へ」
(風味の良いセージに、ローズマリー、タイム)
「スカボローに住む娘によろしく言っておいてくれ。
かつて私が本当に愛した娘なんだ」

二人の人物の会話です。 スカボローの市へ行くという人に、「スカボローの市へ行くのなら、スカボローに住む娘によろしく言っておいてくれ」と頼んでいます。

白鳥英美子が歌う『スカボローフェア』は、このバージョンの歌詞ですね。 白鳥英美子バージョンの歌詞を "Where are you going to Scarborough fair" と覚えていて、ときどき思い出しては「理屈が通らない文章だ。 文法的におかしい」と思っていましたが、 "Where are you going?" "To Scarborough fair" と、二人の人物の対話だったわけですね。

「(風味の良いセージに、ローズマリー、タイム)」は合いの手のようなものでしょう。
"And tell her to make me a cambric shirt,
(Savoury sage, rosemary, and thyme)
Without any seam or needlework,
And then she shall be a true love of mine.
「そして、その娘に伝えてくれ。 私にキャンブリックのシャツを作って欲しいと。
(風味の良いセージに、ローズマリー、タイム)
ただし針は使わず、縫い目も残さないように。
そうすれば、その娘は私が本当に愛する人となる」

頼み事をする側の人が、スカボローを訪れる予定の人に一方的に話し続けています。

「キャンブリック」は上質な布地の一種。
"And tell her to wash it in yonder dry well,
(Savoury sage, rosemary, and thyme)
Where no water sprung, nor a drop of rain fell,
And then she shall be a true love of mine."
「そして、こうも伝えてくれてくれ。 そのシャツをあちらの涸(か)れ井戸で洗っておくれと」
(風味の良いセージに、ローズマリー、タイム)
「井戸に水は湧いてないし、一滴の雨だって降ってはいないけれど、
言う通りにしてくれれば、その娘は私が本当に愛する人になる」
頼み事をする側の人が、さらに話し続けています。

スカボローに住む娘が無理難題を押し付けられる歌詞でした。

「サイモンとガーファンクル」の『スカボローフェア』

「サイモンとガーファンクル」の『スカボローフェア』は、トラディショナルな『スカボローフェア』のバージョンの1つに、「サイモンとガーファンクル」のオリジナルの歌詞(*)をミックスしています。

(*) トラディショナルな歌詞とコーラスで重なるように歌われる反戦メッセージ的な趣旨の部分。 "And to fight for a cause they have long ago forgotten(はるか昔に忘れてしまった理由のために兵士たちは戦う)" など。

「サイモンとガーファンクル」の『スカボローフェア』が発表された 1960年代はベトナム戦争の最中です。
「サイモンとガーファンクル」の『スカボローフェア』の歌詞すべてを掲載すると著作権に触れそうなので、「サイモンとガーファンクル」によるオリジナル部分を省いたトラディショナルな部分だけを以下に掲載します。
Are you going to Scarborough Fair
(Parsley, sage, rosemary and thyme)
Remember me to one who lives there
She once was a true love of mine
スカボローの市へ行くのかい。
(パセリに、セージ、ローズマリー、タイム)
スカボローに住む人によろしく言っておいておくれ。
かつて私が本当に愛した女性なんだ。
先ほどのバージョンが冒頭の部分が2人の人物の会話という形式だったのに対して、このサイモン&ガーファンクルのバージョンはスカボローフェアに行く人に頼み事をする人のセリフだけを記述するスタイルです。
Tell her to make me a cambric shirt
(Parsley sage rosemary and thyme)
Without no seams nor needle work
Then she’ll be a true love of mine
# 1つ目のバージョンの歌詞と大差ないので和訳は省略。
Tell her to find me an acre of land
(Parsley sage rosemary and thyme)
Between the salt water and the sea strands
Then she’ll be a true love of mine
彼女に伝えて欲しい。 「1エーカーの土地を見つけておくれ、
(パセリに、セージ、ローズマリー、タイム)
ただし海水と岸辺のあいだにだよ」と。
そうすれば彼女は私が本当に愛する人になる。
1エーカーは 4047㎡。正方形だと63.6m×63.6m。 面積がどれだけ小さかろうと、海水と岸辺のあいだにスペースを見つけろっていうのが、そもそも無理難題。
Tell her to reap it with a sickle of leather
(Parsley sage rosemary and thyme)
And gather it all in a bunch of heather
Then she’ll be a true love of mine
彼女に伝えて欲しい。「革製の鎌で刈り入れて、
(パセリに、セージ、ローズマリー、タイム)
刈り取ったのをヒース(*)で束にしてくれ」と。
そうすれば彼女は私が本当に愛する人になる。

(*) 何を「刈り入れる」かと言えば穀物(たぶん小麦)でしょう。

ヒースは植物の一種。 ヒースは丈が短い(せいぜい50cm)植物なので、束(たば)ねた穀物をくくるには短すぎる。 ゆえに無理難題。

無理難題を押し付けるのが1つ目のバージョンと共通しています。

『スカボローフェア』の歌の起源

歌詞の由来

『スカボローフェア』の歌詞は、17世紀に生まれた『The Elfin Knight(妖精の騎士)』という民話と関わりがあると見られています。

この民話では、妖精(エルフ)が若い娘に無理難題を突きつけて、次のように言います。

「この無理難題を実行できなければ、オマエを連れ去り私のものにしてしまおう」

これに対し、娘は次のように言い返して難を逃れます。

「じゃあ、まずあなたが私の突きつける無理難題を実行してみなさいな」

『The Elfin Knight』に登場する無理難題に使われる語彙は、『スカボローフェア』の歌詞に登場する語彙に似た部分があります。
. "I have an aiker(=acre) of good ley-land"、"Which lyeth low by yon sea-strand"

メロディーの由来

現在普及している『スカボローフェア』のメロディーは、英国のフォークシンガー Ewan MacColl(1915~1989年)が 1947年に、Mark Anderson という名の元鉱夫(1874~1953年)から聞いたメロディーです。
この元鉱夫が、古くからその地方に伝わるメロディーを知っていたわけです。 鉱夫をやっていたときに誰かに教わったのでしょうか。

「サイモンとガーファンクル」の『スカボローフェア』のメロディーも、この鉱夫由来のメロディーです。 ポール・サイモンは、このメロディーを英国のフォークシンガー Martin Carthy(1941年~)から教わりました。

メロディーが伝わったルートのまとめ:

  1. 鉱夫(1874~1953年)
  2. Ewan MacColl(1915~1989年)
  3. Martin Carthy(1941年~)
  4. ポール・サイモン(1941年~)

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