"unless otherwise~" の意味
"unless otherwise~" は「別段に~でない限り」という意味です。 「ただし、別段に~である場合は除く」とも訳します。上の例文は、「この規定は署名がなされた日付から90日間にわたり有効である。 ただし、以下に別段の定めがある場合を除く」とも訳せます。
"otherwise" の意味
"otherwise" という語は "other" と "-wise" が組み合わさって出来ています。
"other" の意味
"other" は「別の、その他の」という意味です。
"-wise" の意味
"-wise" は他の単語の後ろにくっついて「~の方向で」とか「~的には」という意味を付与します。 例えば "clockwise" なら「時計方向に」という意味ですし、"militarywise" あるいは "military-wise" なら「軍事的には、軍事方面で言えば」という意味です。"otherwise" の意味
そんな "-wise" が "other" の後ろに付くとどうなるでしょうか?
「別方向的に」とか「それとは異なるふうに」あるいは「それ以外の形で」といった意味になります。
そして何から別なのかというと、上記の例文で言えば「この規定の内容」です。"otherwise" に込められた意味
したがって、先述の例文の "otherwise" に込められる意味は、「『この規定の有効期間は90日間である』という規定とは異なるふうに」です。
先述の例文に、この意味を分かりやすく表面化させた訳文を付けると次のようになります:"unless otherwise~" の構造
"unless otherwise~" の「~」の部分に来るのは節(主語+動詞)です。 「~」の部分に節が来ているようには見えませんが、それは省略と倒置によって外見が変わっているためです。
上の例文で説明すると、"unless otherwise specified below" の元の形は "unless (it is) specified oterwise (=in other ways) below" です。
"specify" は「規定する、定める」を意味する動詞ですから、"unless (it is) specified oterwise below" は「それが下記で別段に定められていない限り」という意味になります。
カッコ内の "it" が指すのは "the provision"です。 すなわち、"unless the provision is specified oterwise below"。
無意味な "otherwise"?
例文を検索していて、無意味と思われる "unless otherwise" の使用例が目に留まりました。 次のようなものです:上の例では、この条項自体がアイデアや技術の利用を禁止したものではないため、「法律がそれ以外の形で利用を禁止していない限り」と言われても「それ以外って、どれ以外?」という疑問が頭に浮かびます。
この例文では "unless" だけで十分でしょう。 次のように "otherwise" を除去して何か問題があるでしょうか?"otherwise" に「殊更に」という意味も??
文法的に考えると不要なはずなのに無いと寂しい "otherwise" の例文も見つかりました。この例文全体の意味は「民主主義では思想は基本的には自由であって思想が禁止されるときにはそれが例外として明示されるものだ。 ところが英国では、その逆だ」というものでしょう。 これ以外に考えようがありません。
otherwise = specifically?
したがって、この文の "otherwise" も自ずと上の訳文にあるように「殊更に」という意味になります。 それ以外の意味にはなり得ません。 この "otherwise" は "specifilcally(特にわざわざ明示的に)" という語に置き換えられるでしょう。
辞書には載っていなかった
ところが、どの英英辞典を見ても "otherwise" に「殊更に」という意味は載っていません。 この表現を用いた人(ニュース記事へのコメント)は、"unless otherwise" という表現が耳に馴染んでいたために "specifilcally" と言いたくて "otherwise" と言ってしまったのかもしれません(つまり "otherwise" の誤用)。