質問:「ピーター・パン」の「ピーター」とは? 「パン」とは? それぞれの意味を教えてください。
回答:「ピーター」は単なる人名です。 「パン」はギリシャ神話に登場する神「パン」に由来すると思われます。
詳しくは以下をご覧ください。
1.「ピーター」について
「ピーター」を英語に戻すと "Peter"。 "Peter" は人名(*) です。
(*) "Peter" は男性の個人名として用いられる。
"Peter" の語源
"Peter" の語源をたどると、「石・岩」を意味する古代ギリシャ語「πέτρος(Pedros)」へ行き着きます。
しかし
ですが、「ピーター・パン」の作者(*)が「ピーター」という名に決めたとき、"Peter" の語源のことまでは考えなかったでしょう。
(*) 英国の作家J. M. バリー(1860~1937年)
J. M. バリーが「ピーター」という名を選んだ理由は、「パン」と並べたときに語呂(言葉の調子)が良いからだと思います。
2.「パン」について
「ピーター・パン」の「パン」は、ギリシャ神話に登場する半獣半人の神「パン(Pan)」に由来すると考えられます。 その根拠を次に2つ示します。
半獣半人
ギリシャ神話の「パン」は下半身が山羊(やぎ)で、頭には角が生えています。
J. M. バリーはピーターパンのことを「動物と人の混じった存在だ」と述べていますが、これは半人半獣の神パンの性質と合致します。
「パン」ブーム
「ピーター・パン」の初出はJ. M. バリーの小説 "The Little White Bird"で、この小説が発表されたのは 1902年。
1900年前後の文芸界ではギリシャ神話の「パン」が流行していました。 詩や小説、童話などで盛んにギリシャ神話の「パン」が扱われたそうです。
ギリシャ神話の「パン」
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3. ピーターパンが登場するJ. M. バリーの作品
ピーターパンが登場する主な作品は次のようなものです:
- "Peter Pan, or The Boy Who Wouldn't Grow Up" : 大人になろうとしない少年ピーターパン。 1904年に発表された演劇。ピーター・パンとフック船長と対決する。
- "Peter Pan in Kensington Gardens" : 1906年に発表。 幼少のピーターパンがケンジントン公園に住み着き、妖精たちと仲良くなる。
- "When Wendy Grew Up - An Afterthought" : 大人になったウェンディー。 1908年に演劇として発表されたが、小説として出版されたのは 1957年になってから。
- "Peter and Wendy" : 1. に 3. の内容を盛り込んで小説化したもの。 発表は 1911年。 のちに "Peter Pan and Wendy" に改題される。