質問. 2021年に日本で公開された映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』。 この映画タイトルは、どういう意味ですか?
回答.「ヴェノム: 大量の殺傷を生じせしめよ」という意味です。
詳しくは以下をご覧ください。
1.「ヴェノム」とは
2.「レット・ゼア・ビー・カーネイジ」の意味
2.1. 意味
「レット・ゼア・ビー・カーネイジ」を英語に戻すと "Let there be carnage." です。
"Let there be carnage." の意味は「大量殺戮を生じせしめよ」。 この意味になる理由を次(2.2.~2.3.)で説明します。
2.2. 解説
単語の意味
- let ・・・「~させてやる(許可)」の意味で知られる動詞。 命令文では「~してくれ、~せよ」という「要求」の意味でも使われる。
- there ・・・ "there is~" の "there" と同じ。 無視して構わない。
- be ・・・ いわゆるBe動詞。 ここでの意味は「存在する(= exist)」。
- carnage ・・・「(戦争などによる)大量の殺戮(殺傷)」を意味する名詞。
"carnage" の語源は「肉」を意味するラテン語の名詞 "caro"。「動物の屠殺」や「殺人」などの意味を経て現在の「大量殺戮」という意味に至る。 なので、"carnage" には「血まみれの、血塗られた」というニュアンスがある。
全体の意味
"Let there be carnage." は命令文で、"let" が「~せよ」の意味です。
なので、"Let there be carnage." の意味は「殺戮を存在せしめよ」。「殺戮を生じせしめよ(引き起こせ)」とも訳せます。
"Let there be carnage." は "Let carnage be." に書き換えると理解しやすい。(ただし "Let carnage be." は英語として不自然) "Let carnage be." は "Let me eat." などと同じ構造。
2.3.「カーネージ」に二重の意味?
上記から、"Let There Be Carnage" の意味は「大量殺戮を生じせしめよ(引き起こせ)」。
ですが前述の通り "Carnage" は、この映画に登場する悪役キャラの名前でもあります。
そして、悪役キャラ "Carnage" はヴェノムの体組織から生まれます。
そう考えると、"Let There Be Carnage" は「(悪役キャラである)カーネージを生じせしめよ」の意味にも理解できます。
疑念
ただ、"Let There Be Carnage" をこの意味に理解しようとすると、次の疑念が生じます:
- 誰がそんなことを望むの? 悪いモンスターを生じさせたら色んな人に迷惑がかかるのでは?
- ヴェノムに対して「カーネージを生じせしめよ」と言っているの? そのようなことを果たしてヴェノムが望むだろうか?
こうした疑念を解消できないので、"Let There Be Carnage" の意味は「(悪役キャラである)カーネージを生じせしめよ」ではないでしょう。
きっと...
でも、映画の制作陣はきっと、悪役キャラ「カーネージ」を意識して映画タイトルに "Carnage" という語を用いたと思います。
3. 全体の意味
『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の原題は『Venom: Let There Be Carnage』。 和訳は「ヴェノム ~大量殺戮を生じせしめよ~」です。
"Venom" が主題(タイトル)で、"Let There Be Carnage" が副題(サブタイトル)です。