「ヴィラン」の意味

ヴィラン」というカタカナ語が最近になって使われ始めているようですが、この「ヴィラン」の意味や由来はどんなものなのでしょうか?

「ヴィラン」は "villain"

「ヴィラン」は "villain" という英語の発音をカタカナで表記した言葉です。

"villain" の発音記号は "vĭlən" なので、「ヴィラン」というカタカナ語は "villain" の実際の発音とそう違いません

"villain" の意味

"villain" の意味は次のようなものです:

  1. 邪悪な人、悪意がある冷酷な人、悪党
  2. 映画・小説・漫画などのフィクションにおいて主人公の敵となる邪悪なキャラクター。 主要な悪役。 ヒーロー/ヒロインと釣り合うほどの存在感を放つ存在。
  3. 何かの問題や害悪の原因となるもの。 例えば貧困など
  4. 〈英国の警察の俗語〉 犯罪者
  5. 〈死語〉 粗暴で欲望をすぐ表に出す下品な農民(おそらく中流以上の階級から見た農民のイメージに基づく意味)、マナーを知らない無骨な田舎者
  6. "villein" と同じ意味。 "villein" は「(中世ヨーロッパの)農奴」という意味、

映画のあらすじなどで使われる「ヴィラン」という言葉は、2の「主要な悪役」という意味です。

"villain" の語源

"villain" という英語の語源は、「古代ローマの荘園」を意味する"vīlla" というラテン語です。

"vīlla" から「農奴」を意味する "vīllānus" という俗ラテン語(文書ではなく会話に使われるラテン語)が生じ、その "vīllānus" が古フランス語を経て「農奴」や「粗野な感性の人」を意味する "vilein(vilain)" という語へと変質し、13世紀後半から14世紀前半ごろに "villain" という英語が完成しました。

"villain" が「主要な悪役」という意味で使われ始めたのは 1822年からです。

「ヴィラン」の用例

「ヴィラン」というカタカナ語の用例です。
まとめると、まぁまぁ特殊な女の子と、モブキャラと言っていいくらい普通のゴロツキたちが今回のヴィランになっている。。もうこれヴィランと呼んでいいのか?
# 「ヴィランたるもの主人公に匹敵するほどの存在感がなくてはならないのに、モブキャラ(重要ではないキャラクター)並の存在でしかないキャラクターがヴィランとして扱われているのはおかしい」という意味です。
トム・ハーディが凶悪ヴィランに!「ヴェノム」12月公開、予告編が到着

# 「凶悪ヴィラン」とはヴェノムのこと。ヴェノムは「スパイダーマン」に登場する悪役。 そのヴェノムを主人公に据えたのが映画「ヴェノム」。 他の映画で主役になれるほどに存在感がある(キャラが立っている)キャラクターでなくてはヴィランとは言えないことがよくわかります。

ただし、ヴェノムを指して「凶悪ヴィラン」と言っているのは「スパイダーマン」の世界での話でしょう。 映画「ヴェノム」ではヴェノムはなんだかんだ言って結局はヒーローであるという位置づけなのでヴィランには該当しません。
ヴィランのキルモンガーが魅力的でした。ただのサイコな悪役じゃなくてすごく良かった。
# 「キルモンガー」は「ブラック・パンサー」という映画の悪役の名前。 「悪役のキルモンガーが魅力的だった」という意味です。 映画ファンの間に「ヴィラン」というカタカナ語が浸透していることが窺(うかが)い知れる用例です。

"villain"の用例

カタカナ語「ヴィラン」の元となった英語 "villain" の用例です。
Actor Kenneth Branagh says he would love to play the villain in the next James Bond movie.
俳優のケネス・ブラナー氏は、映画「ジェームズ・ボンド」シリーズの次の作品ではぜひ悪役を演じたいのだと言う。
# この用例の "villain" はカタカナ語「ヴィラン」と同じ意味です。
Twenty years after Belle and Beast marry and become king and queen, they establish the United States of Auradon, creating a prosperous new nation from the surrounding kingdoms, and banish the villains to the Isle of the Lost...
結婚して王と女王になったベルとビーストは、周囲に存在する王国群を統一してオラドン合衆国という豊かな国を建国し、ヴィランたちを「亡者の島」へと追放した...
# この用例は「ディセンダント」というディズニー映画の概要を説明する文の一部。 「ベル」と「ビースト」というのは、ディズニー映画「美女と野獣」に登場する美女と野獣のこと。 この用例における「ヴィラン」とは、ディスニー作品に出てくる悪役たちのこと。 例えば、「101匹わんちゃん」に登場する悪役クルエラ・ド・ヴィルや「眠れる森の美女」に登場する悪い魔女マレフィセントなど。
One of the villains came charging toward me with his sword in his hands.
悪党どもの1人が剣を構えてオレのほうに突進してきた。
As the villains came near, John jumped into the storage part of the truck.
ならず者たちが近づいてくると、ジョンはトラックの荷台に飛び乗った。

ヴィランと非ヴィランの境目

「ヴィラン」は完全な悪役を意味するので、ちょっとひねくれてるけどピンチには主人公を助けるキャラクター(例.「絶対可憐チルドレン」の兵部少佐)は「ヴィラン」に該当しません。 「(おいら)ルパン三世」や「ネズミ小僧」のように社会的には悪人に分類されるが善人として描かれるキャラクターも「ヴィラン」とは言えません。

当初はヴィランだったのがのちに主人公の仲間になるというケースはあり得ます。 このケースは少年漫画に多く、例えば「ドラゴンボール」のピッコロ大魔王やベジータがこのケースに該当します(フリーザ様は最後までヴィラン)。 「はじめの一歩」の沢村さんや間柴さんも当初はヴィランで後にはお友達というパターン。 「おジャ魔女どれみ」のオンプちゃんも同じパターン。

幽遊白書」に登場する飛影や「家庭教師ヒットマンREBORN」に登場するムクロは、最初はヴィランで後にひねくれ系の仲間というパターン。

ドラえもん」に登場するジャイアンは、ヴィランに分類するには邪悪度が不足しているように思います。 まだ子供ですしね。

「僕のヒーローアカデミア」

僕のヒーローアカデミア」という漫画では、「ヴィラン」という言葉がこの漫画に特有の意味で使われています。 「主要な悪役」ではなく悪者全般(敵)を指す言葉として「ヴィラン」という言葉が使われているのです。 この作品では、正義の味方として活躍する人たちを指して「ヒーロー」という言葉が使われ、超能力を悪用する悪者を指して「ヴィラン」という言葉が使われています。

「僕のヒーローアカデミア」を読んだことがないので Wikipediaの情報からの推測になりますが、おそらくこの漫画におけるヴィランは、名前を持ちキャラクターとして登場するヴィランであっても主役級の悪役ではなく仮面ライダーの「怪人」と同程度の存在なのだと思われます。 「僕のヒーローアカデミア」において「主要な悪役」という意味での真の「ヴィラン」に該当するのはヴィラン連合を率いる死柄木弔など数名に限られるでしょう。

この点において「僕のヒーローアカデミア」は上記の用例の中で言及したディズニー映画「ディセンダント」に似ています。